世界とも肩を並べるレベルの高いマシンは、意外にも誰もが購入可能なKTCの工具たちによって整備＆セットアップされていました。

今回は二輪レースの国内最高峰クラス／全日本ロードレース選手権JSB1000クラスを戦う、バイクメーカー／カワサキのトップチーム「Team GREEN(チームグリーン)」のメカニック／今村浩司さんにレースメカニックの仕事について語っていただきました。

予選や決勝に向けマシンのセットアップを進めたり、タイムアタック中にセットチェンジを行ったり、耐久レースではタイヤ交換や転倒時にはマシンの修復を行ったりと、メカニックの仕事はミス無く、素早く、確実な作業が求められます。

「たとえば一般的な8mmのT形レンチでいかに多くの作業ができて整備性を高められるか。そういったことを考えながらレーシングマシンを仕上げていきます。必要であればネジサイズを変え、使用するネジサイズを揃えることもします。以前は特殊な工具を揃えたりもしましたが、それによって整備効率が落ちるんです。一般的な工具で、いかに作業効率を高めるかが重要です」

全日本ロードレース選手権の最高峰／JSB1000クラスに2台のマシンを走らせるチームグリーンは、1台のマシンに2名のメカニックが付きます。そしてメインで使う工具はすべて2セット用意。それによって2名で整備するときに工具を取り合うことがないそうです。

「サーキットではミスを無くすこと、作業時間を短縮することを目標に作業をしています。そのための準備を、レースとレースの間にワークショップで行います。

ワークショップでは時間が掛けられるので、細かなところまでチェックしながら作業を進めます。使う工具は同じなのですが、手とアタマの使い方が違いますね。ワークショップでは気になる点をすべてチェックしオールクリアでサーキットに向かいます。サーキットでは優先順位をつけながら作業を進めていきます。正確に、そしてなにより早く作業を完了させるために、ソケットを差し替えたりトルクレンチの締付トルク値を操作したりする時間ももったいないくらいです」

今村さんを含むメカニックたちは異なるソケットサイズと締付トルク値をセットしたトルクレンチを何セットも用意して並べ、T形レンチも差し替え式ではなく、異なるサイズのT形レンチをずらっと並べています。それには、時間短縮という目標があったのですね。