
製造業における「作業管理」とは?
作業記録のデジタル化が効率化のカギ
製造現場で作業管理を任されていると、さまざまな悩みに直面します。「作業はきちんとやっているはずなのに記録を漏らしてしまった」「人によって作業時間や作業のやり方が違い、品質にムラがある」「Excelシートで作業管理しているが、工程改善まで手が回らない」… etc.
そこで、本記事では「製造業における作業管理とは何か」を定義した上で、労働衛生の観点から現場で起きている「ムリ・ムラ・ムダ」の問題を解説します。さらに、作業管理の問題解決をサポートしてくれるデジタル・ソフトウェアを提案します。
製造業における作業管理とは?
製造業における作業管理は、現場で行われる作業を一定のルール・手順に沿って適切に実施できるように管理する取り組みです。作業管理は品質や生産性を安定させるためだけでなく、労働衛生の観点からも重要性が増しています。
とくに近年は現場の負担を減らしつつ、エビデンスとして説明できる作業記録の整備が求められる場面が増えました。取引先から作業実績の提出を求められたとき、あるいは不具合が起きたとき、いつ・誰が・どの手順で・どのような条件で作業したかを説明できるかどうかは、自社の信頼性に関わります。
こうした背景を踏まえると、作業管理は現場の業務をしばるものではなく、作業上の安心安全を守り、改善につなげるための土台といえます。
労働衛生の3管理とは
製造業の作業管理への取り組みで注目されているのが、労働安全衛生に関することです。近年製造業の現場では、高齢者や個人事業者など、職場で働く人材の多様性が増しています。どのような人材が作業しても体に無理がなく、災害を発生させないために作業管理が見直されています。
現状の課題を解決するために、厚生労働省によって2025年に労働安全衛生法の一部を改正する法律が公布されました。労働衛生管理は大きく作業環境管理、作業管理、健康管理の3つで整理され、それぞれが深く関係しています。
管理01:作業環境管理
作業環境管理は、作業者の災害防止・健康被害防止の観点から現場の環境を適正に保つための取り組みです。製造業の現場には、粉じんや騒音、温熱、照度など、さまざまな有害因子が存在します。これらを除外するために照明などの設備、注意喚起の看板の設置といった現場の環境を整え、災害や被害が起こる前に対策を行うことが大切です。
管理02:作業管理
作業管理は、作業手順や作業方法を整える取り組みです。1つめは作業時間や作業量、作業方法などの適正化を図り、属人化を回避することです。具体的には作業手順書を整備し、作業手順書どおりに実施することです。2つめは作業者の安全面を保護することです。具体的には、保護メガネやマスク・手袋などの作業に必要なものを用意することが挙げられます。
管理03:健康管理
健康管理は、現場の作業者の健康状態を維持させるための取り組みです。定期的な健康診断を実施し、作業者の健康状態を把握して健康障害を事前に防ぎます。「有機溶剤や鉛、粉じんが発生する作業においては特殊健康診断の受診をする」「メンタルヘルスに不調を抱える労働者には産業医面談を行う」など、現場の作業環境や作業状況に応じて個別対策も実施します。
製造業における作業管理の目的
作業管理の目的は、現場の「ムリ・ムラ・ムダ」を減らし、品質と生産性を安定させることです。ここでは現場で起きやすい課題を、身体的要因「ムリ」とプロセス的要因「ムラ・ムダ」という2つの側面から解説します。
身体的要因「ムリ」
身体的要因「ムリ」は、次のような身体的負荷に関わる作業が常態化してしまうケースで起こります。
- 不自然な姿勢での組付け・検査
- 重量物の運搬や持ち上げ
- 長時間労働による疲労やストレス など
ムリが続くと、作業者の事故につながりやすいだけではありません。作業ミスが発生し、品質面のリスクにもなります。
プロセス的要因「ムラ・ムダ」
プロセス的要因「ムラ・ムダ」は、次のように作業手順や進め方が安定していないことで起きます。
- 作業者による自己流のやり方が常態化している
- 作業手順の一部を飛ばした結果、ミスや不良品が増える
- 不必要に作業者のカン・コツに依存し、再現性が低い など
このような状態では、ベテランがやれば問題ないという運用になりがちです。頼りのベテランスタッフも定年退職を迎えます。ベテラン社員のノウハウを取り入れ、作業手順や進め方を可能な限りマニュアル化し、「誰が作業しても同じ品質を保証できる」状態をつくることが重要になります。
作業管理の取り組み方

現場の「ムリ・ムラ・ムダ」を改善するには、まず現状の作業を把握し、分析することが必要です。現場改善は、従来のやり方を変えることだけではありません。現場で何が起きているかを正しく捉えて具体的な改善策を立てることが重要です。そのために欠かせないポイントが、作業記録の見直しです。
作業内容を把握することの必要性
作業管理が必要とされる具体的な工程は、次のような例です。
- ミスが起きやすい工程
- 作業者によって大きく時間が違う工程
- 手順が守られていない工程 など
これらは現場の「ムリ・ムラ・ムダ」によって生じていると考えられ、改善する工程として捉えられます。そのため、なぜミスが起きているのか、実際に何分かかるのか、なぜ手順を飛ばしたのかなど、作業内容を細かく把握しなければ改善策を講じられません。そこで大きく役立つのが、作業を定量的に残す作業記録です。
作業記録の重要性
ボルトを締めたときのトルク値や計測した寸法値など、製造現場における作業記録は、作業管理の最適化を図る上で貴重なデータです。さらに、現場スタッフが作業に必要な知識を共有するために有効な教材です。
製造業の現場では、次のようなアナログ作業で記録しているケースが多いのが実情です。
- 測定した記録を紙に手書きする
- 手書きした記録をPCへ手動で転記する
- 記録のログをExcelシートで管理している など
このような状態では、記録のための作業が増えてしまい、手書きによる記入ミスの可能性を減らすことができません。また、属人的な記録・管理によってデータの改ざんが起こる可能性もあります。品質の信頼性を担保するためには、作業記録をどのように管理・運用するかは重要なことです。
作業記録におけるアナログ管理のリスクとデジタル化のメリット

製造現場でよくあるアナログ記録の方法は、紙への記録やPCやExcelへの転記を用いた管理です。これらの方法でデータ管理を長く運用すると、トラブルのリスクが顕在化するのは明らかです。そのため、近年は作業記録・管理をデジタル化する企業が増えつつあります。
そこで、ここではアナログ管理のリスクとデジタル化のメリットについて解説します。
アナログ管理のリスク
測定記録の手書きやExcel運用といったアナログ管理で起きやすいリスクは、大きく3つあります。
作業時間の増加と記入漏れ
手作業による記入、転記、確認には、多くの時間がかかります。忙しいときほど記録を忘れたり、後回しになったりして記入ミスや記入漏れが発生するリスクがあります。
データの安全性・信頼性の弱さ
属人的な作業により「いつ・誰が・どの条件で作業したか」が曖昧なため、測定されたデータの安全性・信頼性について疑問視される可能性があります。
改ざんリスク
悪意があるかどうかにかかわらず、後から第三者が数字を変更できる状態は、監査上の懸念点として解消されることはありません。
人手不足が続く製造現場は多忙のため、作業記録の管理(記入漏れのチェックや記録フォーマットの見直しなど)に最低限の時間しか割けないのが現状です。このままでは悪意があるかどうかにかかわらず、トラブルが起こるリスクを抱え続けます。
デジタル化のメリット
測定記録の正確性を担保し、効率的な管理を行うためには、作業記録のデジタル化が有効です。作業記録のデジタル化には、次のようなメリットがあります。
- 自動記録により入力負担を減らせる
- タイムスタンプや履歴が残せる
- 権限管理や履歴管理により改ざんリスクを下げられる
- データの分析が容易で改善サイクルを回しやすくなる など
デジタル化は作業記録を効率化するだけでなく、データを分析し改善につなげるヒントを見つけやすくできます。また、品質問題や不正の未然防止や、取引先への実績データの信頼性向上にもつながります。
作業記録のデジタル化で
進められることが他にもあります
解決策:TRASAS IM/EM で実現する「作業管理」
作業管理のポイントは、作業記録の整備と作業管理コストを増やさない仕組みの両立です。その実現手段として有効なのが、IoTを活用した作業のデジタル化です。その一例として、スマートセンシングツールで記録した作業データをコンピュータで管理するためのトレーサビリティツール「TRASAS IM/EM」を紹介します。

TRASAS IM/EM とは
TRASAS IM/EM とは、製造業における管理現場と作業現場をつなぎ、デジタル管理するためのソフトウェアです。統合管理ソフトウェア「TRASAS IM」と作業者用ソフトウェア「TRASAS EM」の連携によって、適正な手順書運用をサポートします。
具体的には、現場の作業手順をデジタルで整理し、最新版に更新した内容を全員に共有できます。いつでも作業手順の変更や改善を簡単に反映できるため、業務標準化のバージョンアップが滞りません。管理者にとっても現場の作業状況を把握しやすくなり、作業の標準化を計画的に進めることが可能です。
また作業者にとっては、作業手順の確認や作業記録をその場で行えるため、紙への記入や後作業が不要になります。作業内容がデータとして残ることで記録の抜け漏れを防ぎ、作業管理の精度が向上します。
TRASAS IM統合管理
ソフトウェア
TRASAS EM作業者用
ソフトウェア
TRASAS IM/EM で解決できること
TRASAS IM/EM では、次の3つの作業管理の課題を解決します。
解決01負担の排除(自動記録)
作業記録の壁は、記入が面倒で続かないことです。TRASAS EMは、工具に取り付けられたセンサーを通して作業データを自動で記録します。現場の作業者が手入力で作業記録を記入する必要がなく、管理コストが軽減されます。
解決02正確性の確保(手順の表示)
製造業における自己流の作業や手順を防ぐには、作業者がその場で作業手順を確認できる仕組みが必要です。TRASAS IMは作業手順書の作成・管理を担い、作業記録をデータで管理できる形に整備します。作業手順書に基づくことで、作業者間のばらつきも抑え、品質の安定化に寄与します。
解決03安全の見える化
作業管理は品質だけでなく、安全面や労働衛生面にも深く関係します。作業手順が標準化されると「危険なやり方が常態化していないか」「あのスタッフに負担が偏っていないか」などの観点で点検しやすくなります。これは安全対策の打ち手をつくる上で重要です。


KTCだから提案できる課題解決への
3ステップ導入検討プロセス
手厚い導入サポート
お客様の課題は、業界や作業内容によってさまざま。現状をしっかり理解したうえでプランニングし、工具メーカーとして現場を知り尽くしたKTCだからこそ実現できる最適なソリューションをご提案。TRASAS導入まで手厚くサポートします。

