
製造業の「品質不正」はなぜ起きる?
データ改ざんを防ぎ、
信頼を守る「自動記録」の仕組み
近年、製造業ではデータ改ざんなどによる品質不正が問題として取り上げられています。その背景には、業務プロセスにおける品質管理の軽視やガバナンスの欠如など、さまざまな問題が存在しています。製造業の現場では、いまだに検査データの手動によるアナログでの記録や管理が行われており、業務標準化が進んでいないのが現状です。
とくに数値の記録や作業履歴など、作業のエビデンスとなるデータの取り扱いについて、手動で行っている現場が多くあり、製造業におけるデータ管理のデジタル化の検討がなかなか進んでいません。そこで、本記事では品質不正がなくならない理由をはじめ、アナログ記録のリスクやデジタル化の重要性を解説した上で、それらを解決できるソフトウェアの導入を提案します。
製造業における品質不正は、なぜなくならないのか?
製造業では品質不正問題が繰り返し発生しています。なぜ、この問題はなくならないのでしょうか。
ここでは、品質不正の問題が起こっている背景を探ります。
昨今の品質不正に関する問題の現状と背景
近年問題となっている品質不正のケースに目を向けると、検査データの改ざんや後追い入力といった行為が見られます。こうした背景には、手入力や紙による記録を前提としたアナログな管理方法があります。そこで、過去に起こった2つのケースを紹介します。
過去に起こった品質不正の問題
Case 01データ改ざんによる規格外品の出荷
- 不正
- 顧客との間で契約した製品仕様を満たさない製品を、データ改ざんなどを行って出荷した
- 措置
- 検査プロセスの脆弱性を認め、管理体制や人員配置、ガバナンスのあり方などを見直して再発防止策をとりまとめた
1つめのケースは、製造業で生じた問題です。ある現場で、顧客との契約に基づいた製品仕様を満たさない一部の製品が出荷されていると通報があり、データの改ざんなどが行われていた事実が判明しました。本来測定した結果の数値を、顧客仕様を満たす数値に置き換えて検査成績書に入力していました。
この問題の措置として、品質保証に対する規範意識の強化とともに、全社的に作業基準やガバナンスなどを見直し、製造プロセスの管理体制や検査システムの導入などを取りまとめて再発防止策を講じました。
Case 02手書き記録から入力時の数値書き換え
- 不正
- 製品などの検査データを紙に手書きした後、パソコンに入力する際に顧客の決めた仕様に収まるように改ざん
- 措置
- データ取得から検査成績書の作成までを自動化するシステムの導入を検討し、再発防止に努める
2つめのケースも、製造業の現場で起こった問題です。ある現場で、製品の性能検査に関するデータが、実測値とは異なる形で記録されていたことが明らかになりました。検査装置の数値を一度紙に手書きし、その後パソコンに入力するアナログ運用がなされ、入力時に顧客の決めた仕様に収まるように数値が改ざんされていました。
この問題の措置として、再発防止のためにデータ取得から検査成績書の作成までを自動化するシステムの導入が検討されています。
アナログ記録のリスクについて
手入力や紙による記録を前提としたアナログな管理方法では、データの正確性が個人の判断に委ねられる結果となってしまいます。前述した2つの品質不正のケースも、このような仕組みだったために不正が見逃され、長い期間放置されてしまったと考えられます。
ここでは、アナログによるデータ管理のリスクについて、PL(製造物責任)法の観点も踏まえて解説します。
アナログ管理のリスク
製造業におけるアナログ管理には、次のような3つのリスクが潜んでいます。
リスク01:不正の助長
多くの製造現場では、品質検査データの管理に課題があります。とくに、検査結果を目で確認したり、紙に書いたり、Excelに手入力したりする運用面においては、誰でもデータを後から変更できる仕組みになっています。また、作業者のさじ加減で、数値を都合のいいように調整することも可能です。こうしたアナログ管理では、改ざんが起こりやすいという製造現場の課題が解消されません。
仮に品質基準を外れた製品が出た場合、作り直しには時間がかかります。顧客への納期までに時間の余裕がなければ、納期遅延による損失を受け入れるか、そのまま出荷するかの厳しい選択を迫られます。それは製造現場にとって大きな負担です。
そもそも品質不正は「最初から不正をしよう」という悪意ではなく、「納期や会社を守ろう」とする思いから発生するような要因も多く、結果的にアナログ管理はそうした際にデータ改ざんを容易にしてしまう危険性があります。
リスク02:ミスと改ざんの区別がつかない
アナログ管理の場合、意図せずミスが起こることがあります。前述した「ケース02」のように、現場で紙に書いたものをあらためてパソコンで手入力する場合に転記ミスが生じることもあります。
仮に品質不正の問題が発覚した場合、アナログ管理では、個別の製品に紐づいた各種データをもとにその原因を特定するトレーサビリティ(追跡可能性)が仕組みとして備わっていません。そのため、現場スタッフによる転記ミスだと主張しても証明することが難しく、企業には改ざんという判定がくだされ、結果として社会的信用を失うことになってしまいます。
リスク03:証拠能力の欠如
手書きによる記録や手入力によるExcel管理は、作成時の履歴が残りにくく、トレーサビリティが困難です。
そのため、万が一、製造物責任(PL)法訴訟などを起こされた場合に、製造業者が身を守るためのエビデンスにならない可能性があります。
品質データ不備が招くPL(製造物責任)法上の責任
製造物責任(PL)法とは、製品に欠陥があったことで人の命や体、または財産に被害が出た場合に、損害を受けた人が製造業者などに損害賠償を請求できることを定めた法律です。通常の不法行為では、被害者が「相手に過失があったこと」を証明する必要がありますが、PL法では「製品に欠陥があったこと」を証明すればよいとされています。
不正や記録不備がある状態で事故が起きれば、仕様どおりに製造したと証明できずに欠陥品とみなされるため、PL法に抵触してしまう可能性があります。品質に関するデータ管理は、それほど重要な意味を持っています。
作業記録をデジタル化することのメリット
現場の作業記録をデジタル化することは、品質不正につながるリスクを回避することにつながります。デジタル化を導入すれば、検査数値の自動転記やデータの蓄積などが可能になり、現場の作業負担を軽減することになります。結果として、それぞれの現場が本来向かい合うべきタスクに注力することで安定した品質管理を可能にし、企業価値を高めることにつながります。

現場の作業記録をデジタル化する3つのメリット
製造業において現場の作業記録のデジタル化を推奨する理由は、主に3点あります。1つめは、デジタル化を通して測定値を自動記録することで入力ミスを防ぎ、現場の作業品質と記録の信頼性を高められることです。2つめは、検査データを手動入力で記録する作業が不要になり、本来の測定作業に集中できるため、現場スタッフにとっては業務効率化が図れることです。
3つめは、デジタル化を通じて検査データの帳票が自動的に完成され、さらに毎回の記録も自動で蓄積されるため、データ改ざんの防止につながることです。つまり、製造業において現場の作業記録のデジタル化を導入することで、現場作業から管理業務にいたるまで一貫した生産性の向上を実現できます。
現場の作業管理のデジタル化で
進められることが他にもあります
解決策:TRASAS Admin PRO で実現する「作業記録のデジタル化」
作業記録の信頼度を高めるためには、データ改ざんが不可能な作業記録のデジタル化が欠かせません。一例として「TRASAS Admin PRO」を紹介します。
IoT工具測定記録ソフトウェア「TRASAS Admin PRO」
TRASAS Admin PRO はIoT工具の測定値をリアルタイムに表示し、自動で保存できるソフトウェアです。デジタルデータによる作業精度の「見える化」を実現することで、現場スタッフ任せのデータ運用・データ管理から脱却し、記録によるミスや工数を減らし、製造企業の信頼性と生産性の向上に寄与します。

TRASAS Admin PROで解決できること
TRASAS Admin PROでは、アナログ管理で起こる3つの課題を解決できます。
解決01正確性の担保
TRASAS Admin PROは、設定(目標)値をデジタル化することによって正確な数値管理を実現します。また基準値だけでなく、上限値と下限値を設定できるため、その範囲での合否判定が可能です。
解決02自動記録によるリスク回避
TRASAS Admin PROは、測定状況をリアルタイムに表示します。測定精度を目で確認することによって製造スタッフの勘やコツに頼ることなく、視覚的に確認しながら正確な作業を進められます。
解決03データの蓄積
TRASAS Admin PROは、作業日時と測定結果を自動保存します。デジタル保存することで信頼性の高いエビデンスを確実に残すことができ、トレーサビリティを伴う正確なデータが蓄積できます。
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