KYOTO TOOL CO., LTD.
1990年初頭、KTCは自動車メンテナンスのプロフェッショナルに向けた世界一のハンドツールをつくることを決意しました。この開発においてKTCが目指したことは極めてシンプルでした。世界中の競合他社製品を徹底的に検証し、素材、設計、製造技術、工作精度など、すべてにおいて他社製品を上回り、なおかつ自分たちの理想の形を追い求める。そして、常に世界一であり続けるために絶え間なく進化し続ける。そして5年の歳月をかけて生み出されたのがnepros(ネプロス)です。
KTCが考える理想の工具を具現化したネプロスの最高の機能と性能、上質な操作感と美しさに触れた時、他のハンドツールでは味わえない深い満足感を感じていただけるでしょう。
ネプロスラチェットハンドルは握りやすさにとことんこだわりました。力を掛けやすいグリップ形状を徹底的に追求したのです。開発のヒントとなったのは公園の鉄棒でした。ある程度の太さがあったほうが、力を掛けやすいと考え、試作を繰り返してたどり着いたのが、この太さ(20mm)。さらに、指をしっかり掛けるためグリップのくぼみをつけ、滑り止めのためのゴムリングをグリップエンドに装着。こうして理想的なグリップ形状が完成しました。
握りやすさを追求して生まれたグリップ形状ですが、そのままでは問題がありました。グリップを太くするとグリップ側が重くなり、重量バランスが悪化します。この問題を解決するために出した答えは、グリップを中空構造にするという他に例のないものでした。一体成形にしか見えない外観であるにも関わらず、独自の加工技術によって内部を中空にし、太めのグリップでありながら、グリップ部とヘッド部の絶妙な重量バランスを実現しているのです。
※ネプロス9.5sq.木柄ラチェットハンドル黒檀(NBR390WK)は、中空グリップではありません。
ネプロスのギアを空転させると、小気味よいクリック音が聞こえてきます。この美しい音色を奏でているのは、送り角4°、7段クロウ、世界最高クラスの90枚ギアを搭載した精密な駆動機構です。駆動機構をじっくり見てください。KTC BR3Eの36枚ギアでは、ラチェットの回転方向を切り替えるチェンジャーとギアに掛かるクロウ(爪)は一体構造で、ギアを2段のクロウで支えています。これに対してネプロスは駆動機構の構造を一新しています。送り角を小さくするためにギア数を多くすると、ギア一枚あたりの山の大きさは小さくなり強度が低下するため、ギアに掛かるクロウの数を7に増やして力を分散させることにより、同等の強度を実現しました。さらにクローとチェンジャーを別パーツにし、スプリングの強さを個別に微調整することで、ギアとクローの確実なかみ合わせと、軽やかな空転トルク、滑らかな動きを実現しています。
小気味よいクリック音を奏でる90枚ギアですが、その真価は狭小なスペースでの作業で発揮されます。KTC BR3EもネプロスNBR390も全長は180mmですが、作業に最低必要なグリップエンドの振り幅は36枚ギアのKTC BR3Eの約29mmに対し、90枚ギアのネプロスは約12mm。違いは歴然ですね。 また、例えばグリップエンドが50mmしか振れない作業環境の場合、ギア1ノッチあたり幅29mm必要なKTC BR3Eは、1ノッチ分の10°ずつしか回せませんが、1ノッチあたり12mmのネプロスなら一度にギア4ノッチ分の16°回せます。送り角の小ささは、作業効率の向上にも貢献します。
ネプロスはグリップの中心をヘッドの差込角側にオフセットしています。 それは、グリップに伝わる力をソケットに近づけることで、掛けた力をソケットに効率的に伝達しているのです。この構造は、KTC BR3Eにも採用されていますが、ネプロスは中心をよりヘッド側にオフセットし、力の伝達効率をさらにアップしています。ネプロスは切替レバーの振り幅を大きく取り、確実な操作を実現しています。