KYOTO TOOL CO., LTD.

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  1. トルク管理 安心と安全のために
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  3. トルク管理とは

Column
トルク管理とは?
メリットや管理方法について

近年、適切なねじやボルト・ナット締結が行われていないことにより、人身事故や製品の回収など企業経営を揺るがす出来事が起こっています。正しいトルク管理が行えていない場合、作業の安全が担保できず、企業活動に影響が生じるリスクがあることを理解し、適切に管理することが重要です。

トルク管理とは

トルク管理とは、ねじやボルトが適切な力(=トルク)で締め付けられたかどうかを管理することを言います。
ねじやボルトのトルク管理を行うと、不適切な締め付けに気付いて作業をやり直せたり、締め忘れによる事故を防止することができます。ねじやボルトが適切な力で締結されていないと、部品が破損したり、部品が脱落して重大な事故につながるおそれがあるため、設定されたトルク値で正しく作業が行われているかをチェックできる状態にすることがとても重要です。

トルクとは、Lの長さのレンチ(※)でFの力をかけた時にボルトに与えられる回転力Tのことで、SI単位系では「N・m」と表されます。

POINT

日本産業規格(JIS)※のねじは、呼び径(ねじ山部分の直径)によって標準締付けトルクが規定されており、工具メーカーなどで公開されています。ただし、ねじの材質や用途によって適切な締付けトルクは異なりますので、必ず整備書などで確認してください。
※日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standardsの略)は、日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格です。

正確なトルク管理を行う
重要性

近年、トルク管理が適切にできていないことが原因と考えられる事故や事件が問題になっています。
正確なトルク管理、またその重要性とはどのようなものでしょうか。

事故やミスを無くすためのトルク管理とは

製造や点検の工程において、ねじやボルト・ナットの締結管理が不十分だと重大な事故の原因になります。
ねじの締め付けを管理することは企業の責務です。

ねじやボルト・ナットの締結には、基準締付トルク値というものが規定されています。基準締付トルク値とは、ねじやボルト・ナットが正しく機能し不具合を防ぐために必要とされる参考トルク値です。その基準締付トルク値を目指して作業を行う際に、作業者自身がねじやボルト・ナットを今どれだけのトルク値で締付けているかを確認できる工具がトルクレンチです。トルクレンチを用いて締付トルク値を可視化することで、適切なトルクで締め付けられたかどうかを管理できるのです。

そしてトルク管理を行うことで、不適切な締め付けに気付いて作業をやり直せたり、締め忘れによる事故を防止することができます。

では、トルクレンチであれば何を使ってもよいのでしょうか?

トルクレンチにも様々な種類があり、それぞれ特長は異なります。作業環境や、作業者の習熟度などによっても選ぶべきトルクレンチは変わるため、現場環境に合わせて選択しましょう。

様々な種類があるトルクレンチですが、作業環境や作業者の習熟度などの条件にかからわず導入しやすいものは「デジタル式トルクレンチ」です。
デジタル式トルクレンチは自動で記録を残すことができる以外に、計測値のズレも少なく、作業者のカンやコツに頼らず計測できるというメリットがあります。
また、作業履歴を記録し、PCにデータ化していくIoTシステムも開発されています。

トルク管理ができていない場合に生じる問題

トルクレンチを用いることで正確なトルク管理が可能となりますが、トルクレンチを使用していても取り扱いが正しくなければトルク管理ができているとは言えません。トルク管理が適切に行えていないと、さまざまな問題が生じます。
実際に、トルクレンチを使用していたにも関わらず次のような事故が発生しています。

タイヤ脱輪事故

車両メンテナンス後の大型トラックのタイヤが走行中に脱輪。
故の原因を調査すると、タイヤ締結にトルクレンチは使用していたものの、カチカチッと何度も本締め※を行っていたことで締め過ぎによりボルトが破損していました。
※ねじやボルト・ナットを締結する際に設定されたトルク値まで締め付けること。これに対して、本締めを行う前にあらかじめ軽く締め付けておくことを「仮締め」と言います。

製品の破損事故

作業時間の短縮を図り本締め工程に人員を追加した事例では、熟練の作業者とトルクレンチの設定を同じにしていたにもかかわらず、初めてトルクレンチを使用した作業者によって締め過ぎによる製品破損が発生しました。

なぜ、トルクレンチを使用してトルク管理を行ったにもかかわらず、問題が発生したのでしょうか?

それは、これらが全て個人のカンとコツに頼ったトルク管理だったからです。
直読式トルクレンチやシグナル式トルクレンチは、熟練の作業者にとっては連続作業に適している反面、作業者の習熟度によってバラつきが生じやすい工具でもあるのです。

事故が発生した2つの現場では、同じ事故が発生しないための取り組みの一つとして、トルクレンチをデジタル式に変えるという対策がとられています。

トルク管理の重要性とは

トルク管理が不十分な場合、製品不良による事故の発生等により、最悪の場合死亡事故につながることもあります。
トルク管理を正しく行うことで、重大な事故発生を防ぐだけでなく、作業改善、企業価値向上、コスト削減、人材の確保・育成などの効果も見込まれます。

POINT

近年は、締め付け加減のばらつきをなくすためにデジタル式のトルクレンチで作業履歴を記録し、それをPCなどに自動転送することが可能なシステムが開発されています。このようなシステムを活用することで、作業者任せのトルク管理から脱却し、作業品質の向上や業務の効率化を図ることもできるのです。

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