使い方とアフターサービス
トルクレンチの使い方
トルクレンチは精密機器! 衝撃は厳禁。取扱い注意!
トルク管理に不可欠なトルクレンチは、振動や衝撃に弱い精密な測定機器です。
測定精度を維持するため、通常の工具以上に慎重な取り扱いが必要です。
使用上の注意点と保管方法
トルクレンチは精密機器です。測定精度を維持するために、取り扱いは通常の工具以上に注意する必要があります。
異常が認められた場合は、必ず点検・修理を行ってください。
適正トルクで使用するため、正しい力点(通常はグリップの中央)を持って使用すること!
トルクは回転の中心軸から力をかける点(力点)までの距離(有効長)と、かける力の大きさで決まります。回転軸から力点までの距離が変わると正確なトルク測定はできないので、トルクレンチを使用する際は、トルクレンチの力点(通常はグリップの中央)に力をかけながら回さなければいけません。
クローフットレンチ使用時のトルク設定について
クローフットタイプのレンチを使用すると、回転軸から力点までの距離が変わるため、トルクレンチの測定値=実際のトルク値となりません。目標トルク値で締め付けるには、トルクレンチの入力値を目標トルク値から変更する必要があります。
例(有効長150mmのトルクレンチで10N・mで対象物を締め付ける場合)
A(有効長):150mm
B(口径部からドライブ中心までの距離):30mm
必要なトルク値:10N・m
トルク換算式:150÷(150+30)×10≒8.3
トルクレンチを8.3N・mに設定すると10N・mで締め付けられます。
※寸法図にあるB寸法の数値(30mm)はトルクレンチの中心軸延長線上にクローフットレンチの中心軸があるときのものです。右図のようにクローフットレンチの中心軸がトルクレンチの中心軸延長線上にない場合は、B寸法を実測して換算式にあてはめてください。
トルクの単位はニュートンメートル
以前はkgf・m(キログラム重・メートル)が用いられていたトルクの単位ですが、新計量法により現在ではN・m(ニュートン・メートル)が使われています。
トルク単位を簡単に換算プレセット型トルクレンチの保管時の設定トルク値は、測定範囲の最低値にセット
内部のスプリングに力をかけたままプレセット型トルクレンチを保管すると、測定精度低下の原因になります。内部のスプリングのへたりを最小限におさえるため、保管時の設定トルク値は測定範囲の最低値にセットしましょう。
高温・多湿・ほこりは避け、付属のケースに入れて保管!
結露による錆の発生や、ほこりのかみこみなどが原因となって、測定精度が低下する場合があります。使用前には異常がないか点検しましょう。使用後は付属の専用樹脂ケースに入れ、高温・多湿やほこりの多い場所は避けて保管してください。
年1回以上の精度確認を
トルクレンチは使用に伴い、測定精度に狂いが生じる可能性があります。定期的(年1回以上を推奨)に精度確認(校正及び必要に応じて調整)をしましょう。
「校正」とは、トルクレンチテスタでトルクレンチの精度を点検、確認する作業です。もし狂いが生じていたら、修理や調整をして測定精度を回復させる必要があります。
トルクレンチの使い方
TORQULE(トルクル)(デジタルトルクレンチ)
トルク表示
記録する
高精度
カスタマイズ
連続作業
90秒で分かる、トルクルの使い方
トルクルの使い方を動画で紹介しています。テキストと写真でご覧になりたい場合は90秒でわかる! トルクルの使い方をご覧ください。
デジラチェ(デジタルトルクレンチ)
トルク表示
記録する
高精度
カスタマイズ
連続作業
対象品番:GEK030-R2、GEK030-C2、GEK030-C3A、GEK060-R3、GEK085-R3、GEK085-R4、GEK135-R4、GEK200-R4
GEK085-W36、GEK135-W36、GEK200-W36
GEK040-X13、GEK085-X13
デジラチェの出来ること ~測定シーンに合わせて、選べる3モード~
- 計測モード : 目標トルクを設定せず、目視により締め付け状況を確認しながら作業できるモード。
- プレセットモード : あらかじめ目標トルクを設定し、作業ができるモード。(最大5件)
- 合否判定モード : あらかじめ設定したトルク範囲で作業できたか確認するモード。正確に作業できた回数を履歴として残すことができます。
使い方(プレセットモード)
1.電源を入れる
Pボタンを押して電源を入れます。
2.メモリーナンバー選択
Mボタンを押してメモリーナンバー(設定トルクを記録させる番号。5つまで登録可能)を選びます。
3.目標トルク設定
「+/C」ボタンと「―」ボタンで目標トルク値を設定します。
4.目標トルク登録
Mボタンの長押しでトルク値を登録します。
5.測定作業
締め付け作業を行います。
設定トルクの90%に達するとブザーがピッピッ…と鳴り出しLEDが点滅。
100%でブザー音がピーと変わりLEDが点灯します。
よくある質問
- Qデジラチェの液晶表示全体が点滅します。
- A電池が消耗しています。電池を交換してください。リチウム電池の交換と廃棄
デジラチェ Type rechargeable<充電式>(GEKRシリーズ)の場合は、充電してください。- A電源OFFの状態から「Mボタン」を押しながら「Pボタン」を押してください。カスタム設定画面で設定された項目は「電源OFF」後、電源再投入時に有効となります。
*カスタム設定…測定値の表示方法を設定することができます。
a.ピークホールド : 測定値の最大値を保持して表示
b.オートクリア : 測定の最大値を設定した時間だけ表示し、自動的にクリア
c.トラック : 測定値の最大値を保持せず、リアルタイムにトルク値を表示 - A電源OFFの状態から「Mボタン」を押しながら「Pボタン」を押してください。カスタム設定画面で設定された項目は「電源OFF」後、電源再投入時に有効となります。
- Qデジラチェ(GEKシリーズ)の表示部の左下に「c」が表示している状態(合否判定モード)から通常の計測モードに戻す方法を教えてください。
- A電源OFFの状態から「Mボタン」を押しながら「Pボタン」を押し「カスタム設定画面」を起動してください。次に「Mボタン」を3回押して合否判定モードの設定画面に移り、「-(マイナス)ボタン」で合否判定モードをOFFにし、「Pボタン」の長押しで電源を切ってください。電源再投入時に通常の計測モードに切り替わります。
詳細は取扱説明書の21ページ「カスタム設定:合否判定モードの設定」をご参照ください。 - Qデジラチェ(GEKシリーズ)の電源が入らない症状が発生します。
- A取扱説明書に不具合症状及び対処方法を記載しております。ご確認いただき症状が 回復しない場合は、故障の可能性がありますので、直ちに使用を中止いただきご購入店様を通じて修理・点検のご依頼をお願い致します。
プレセット型トルクレンチ
使い方
1.ロック解除
ロックリングを下げるとロックが解除され、グリップの回転が可能になります。
2.トルク値の設定
ロックリングを下げたままグリップを回し、主目盛と副目盛でトルク値を設定します。
3.トルク値の固定
ロックリングを手から離せば自動的に元の位置に戻り、トルク値は固定されます。
4.測定作業
設定トルク値に達すると、軽いショックと共にヘッド部の角度が変わります。
トルク値の設定方法
グリップの1回転で主目盛が1目盛分変わります。
設定トルク値は主目盛+副目盛になります。
締め付け作業時の「カチカチッ」は絶対ダメ!
プレセット型トルクレンチは、あらかじめ設定したトルク値に達すると「カチッ」という音とともに軽いショックが手に伝わり、締付け完了が確認できます。
正しく締め付けられたか不安なときは、「カチッ」を繰り返さずボルトを緩めてからもう一度トルクレンチで締め付けましょう。
よくある質問
- Qプレセット型トルクレンチの首がカチッと鳴りません。
- A小トルクタイプのトルクレンチは音が聞こえないことがあります。
- Qプレセット型トルクレンチのラチェット部がスムーズに動きません。
- A故障の可能性がありますので、ご購入店様を通じて修理・点検をご依頼ください。
ダイヤル型トルクレンチ
使い方
1.主針をゼロに合わせる
ダイヤルを回し、主針(オレンジ)を目盛のゼロ位置に合わせます。
2.主針と置針を合わせる
ノブ(つまみ)を反時計方向に回し、置針(ブルー)を右側から主針(オレンジ)に合わせます。
3.測定作業をする
締め付け作業をすると、主針と置針はトルク値を指し続けますので、目盛を読みながら目標トルクに達するまで締め付けます。締め付け作業を終える主針はゼロに戻り、置針は締め付けたトルク値の位置に残ります。
左トルクの測定
左トルクを測定する場合はノブを時計方向に回し、置針を主針の左側から合わせます。
アフターサービスについて
私たちがお届けする製品を安心してお使いいただくために、KTC独自のサービスシステム、KTC Quality Service System による、安心・信頼のサポートをご提供いたします。
製品の修理・メンテナンス
KTCでは販売した製品の修理・メンテナンスについて、「部品供給サービス」「修理サービス」「校正サービス」の各種サービスを提供しております。詳しくは、サポート情報ページをご覧ください。
※ご依頼は弊社製品取扱店へお願いいたします。
※部品供給については安全上・品質上の関係から供給できないものがあります。
※修理の可否等は取扱店または弊社「お客様窓口」にお問合せください。
点検・修理
精度確認(校正および必要に応じて調整)、不具合個所の修理を実施し、修理内容と検査成績が記載された「分解修理票」を発行します。
校正証明書の発行
精度確認(校正および必要に応じて調整)、不具合個所の修理を実施し「校正証明書」を発行します。
※校正証明書……「校正証明書」と「トレーサビリティ体系図」の2枚からなり、精度・性能を公的に証明する書類です。
よくある質問
- Qトルクレンチの校正期間はどの程度がお勧めですか?
- A大よそ一年程度を推奨しております。修理・校正をご依頼いただいた場合、お戻し時に次の校正時期が分かるよう資料をおつけしております。また、修理をご依頼いただきました全てのトルクレンチは、トルクレンチテスターにて、トルク測定・校正、調整を実施し、正常に機能するか確認し、お戻しさせていただいております。測定結果も分解修理表という形式でおつけしお戻しさせていただいております。
- Qお勧めのトルクレンチはありますか?
- Aお使いになられる個所により異なります。使用個所、測定されるトルク値等をお教えいただきましたら、弊社製品の中からご紹介いたします。
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